岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

知られざる“疎開保育園”を描いた感動作

2019年05月17日

あの日のオルガン

©2018「あの日のオルガン」製作委員会

【出演】戸田恵梨香、大原櫻子、佐久間由衣、三浦透子、堀田真由、福地桃子、白石糸、奥村佳恵、林家正蔵、夏川結衣、田中直樹、橋爪功
【監督・脚本】平松恵美子

いのちを守るために闘うひたむきな保母たち

 昭和19(1944)年、東京では空襲警報の警戒サイレンが頻繁に鳴り、人々は迫りくる危機に直面していた。戸越保育所で主任保母を務める板倉楓(戸田恵梨香)は、そんな現状に怒っていた。

 太平洋戦争のさなかに使われた“学童疎開”という言葉はよく知られている。国は学童を守るため、空襲の可能性の高い都市部から、子供たちを田舎へと避難させる方針を決めた。しかし、小学生(国民学校生)に満たない幼い子供に対しては、保育所の閉鎖という対応が決定されようとしていた。そこで検討されたのが“疎開保育園”なのだが、これにはそれをよしとしない国の方針を覆す必要があり、幼い子供の親たちの間にもある不安を解消することが求められた。

 『あの日のオルガン』は保育所の疎開のために、数々の問題を乗り越え、託された命を守るために闘った保母たちを描いた、実話に基づく物語である。

 疎開のための資金の調達、そして肝心な場所の確保は困難を極めるが、ようやく埼玉県南埼玉郡平野村(現・蓮田市)の古寺にたどり着く。

 廃屋のようだった寺の建物を改修し、好意的とは言えない村人たちとの融和を図る。親元を離れた淋しさと、慣れない場所に不安を覚え、神経質になる子供たちをなだめ、保母たちの苦難は続く。そんな時でも、オルガンを囲む子供たちの歌声が、生きることへの唯一の希望となるのだが…。そして、11月24日、B29による大規模な空襲が東京を焼き尽くす。

 監督の平松恵美子は、山田洋次監督のもとで助監督、共同脚本を務めて、『ひまわりと子犬の7日間』(13)で監督デビューを果たした。師匠譲りの誠実な作風が、困難な時代を生き抜いた女性たちの真摯な姿を描く上でよく活かされている。そして、スタッフ陣の映画屋肌の丹念な仕事ぶりも見逃せない。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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