岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

猫が可愛い仕草をするたびにこだまする幸福そうな笑い

2019年05月10日

ねことじいちゃん

©2018「ねことじいちゃん」製作委員会

【出演】立川志の輔、柴咲コウ、小林薫、田中裕子、柄本佑、銀粉蝶、山中崇、葉山奨之 ほか
【監督】岩合光昭

寅さん映画にも似た一体感・高揚感が劇場を包む

 かつて、私が寅さん映画を観る時は、必ず名古屋松竹座の満員の日を選んでいった。あの一体感・高揚感は映画の面白さを2倍にも3倍にもした。

 『ねことじいちゃん』を満席の岐阜CINEXで多くのばあちゃん達と一緒に観た時の雰囲気は、寅さん映画の時のようであった。猫が可愛い仕草をするたびに幸福そうな笑いが劇場にこだまし、魚が食卓に出てくれば「食べられちゃう」との声がする。映画が終わった後はみんな笑顔になっていて、「わたしDVDが出たら買っちゃおうかな」と語らっている。だから「映画館で観ないなんてもったいない」のだ。

 映画は宮ノ島という架空の小島が舞台となっているが、ロケは三河湾に浮かぶ私の地元・西尾市の佐久島でほとんどが行われている。ここは元々ネコの島として有名で、本作の監督である写真家の岩合光昭も「佐久島の猫」として紹介していた。

 主役は大吉さん(立川志の輔)であるが、本当の主演は愛猫タマ(ベーコン)とその仲間たち。瓦屋根と黒壁のひなびた島の風景に、猫たちが所狭しと駆けまわる。家の塀の上やお地蔵さんのお堂の中、港の堤防や海岸の砂地などを自由自在に動き回る姿は、猫好きにはたまらない。

 キジトラ柄のタマは三毛猫のミーちゃんが大好きなようで、ストーカーのようにくっついている姿を見ると、その恋を応援したくなってくる。

 人間の方の話も、大吉が島に独り残るかどうかや、喧嘩友だちのばあちゃんを通じて高齢化問題を投げかけたり、巌(小林薫)とサチ(銀粉蝶)の淡い恋があったり、島でカフェを開いた美智子(柴咲コウ)を巡る恋のさや当てなど、猫を見たい観客に邪魔をしない程度に、ほのぼのと進んでいく。

 普段は、人間の本質を抉り観客に判断させるような肉食映画を好んで観るが、こういったお茶漬けサラサラ映画を満員の観客と一緒に観るのも幸せのひと時である。なお、家で2匹猫を飼っているが、私にはなつかない。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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