岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

歌や踊りの力が見えるドキュメンタリー

2019年04月06日

シンプル・ギフト はじまりの歌声

【ナレーション】紺野美沙子
【監督・プロデューサー】篠田伸二

子どもたちが目指すのはブロードウェイ

 「あしながおじさん」は、アメリカの女流作家ジーン・ウェブスターが1912年に発表した小説で、孤児院で育ったジュディーが資産家の目に留まり、奨学金を得て大学への進学を果たす物語。この意思に賛同する機関は世界各地に現れた。日本では“あしなが育英会”があり、同じ遺児奨学金制度としては、交通遺児育英会などがよく知られている。

 あしなが育英会の創設者である玉井義臣氏は、アフリカで最も貧困にあえぐ地域であるウガンダに、私設学校“レインボーハウス”を設立し支援を始める。この地域ではエイズが蔓延し、親を失くした子どもが多くいた。

 レインボーハウスに集う子どもたちは、悲しみや怒りを歌やダンスで解放していた。玉井氏は支援の手を世界中に広げるため、子どもたちのパフォーマンスを世界の演劇の中心であるブロードウェイに持っていくことを計画する。

 『シンプル・ギフト はじまりの歌声』は、その4年に渡る活動を追ったドキュメンタリーである。この計画の指導者に指名されたのは、イギリスの舞台演出家ジョン・ケアード。彼は「レ・ミゼラブル」の演出でトニー賞を受賞している名匠だが、そこには「あしながおじさん」のミュージカル化に携わったという縁があった。

 カメラは子どもたちの姿を静かにとらえる。その眼にはいっぱいの涙が溢れ、親を亡くした孤独に耐える表情がある。しかし、音楽があれば、それを身体で吸収し弾けるように踊りだす。コーラスは連帯を生み、美しいハーモニーが聴こえる。夢の舞台は日本の東北の子どもたちを加え、次第に形を見せはじめる。学びを未来への希望につなげるというメッセージは心にしみる。コンサートの感動をもっと共有できたらと思うのは欲が深いか?

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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