岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

グリーンの表紙の旅行ガイドブック

2019年03月25日

グリーンブック

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【出演】ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリーニ
【監督】ピーター・ファレリー

怒りの拳ではなく寛容さを

 先日発表された第91回アカデミー賞で作品賞など三冠に輝いた『グリーンブック』は、ケネディ大統領時代のアメリカを舞台にしたロードムービーで、黒人ジャズピアニストのドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)の南部演奏ツアーに運転手兼用心棒として雇われ、同行することになったイタリア系白人トニー(ヴィゴ・モーテンセン)との交流を描いている。

 ニューヨークの高級クラブで用心棒として働くトニーは、口達者のお調子者だが、トラブルには直ぐに駆けつけ、右ストレートのパンチで素早く対処し、まわりからも信頼されていた。しかし、クラブの改装でしばらくの間失業してしまうという憂き目を見ることになる。そこで紹介されたのが、お抱え運転手の仕事。面接のためメモを頼りにたどり着いたのはカーネギーホールだった。その階上に居を構えるのがドクター・シャーリーで、あらかじめトニーのことは調査済みだったが、条件が折り合わず一度は決別となる。

 ピーター・ファレリー監督の軽妙な持ち味が発揮されたここまでの展開は実に快調。演奏ツアーが始まるとロードムービーの趣き。車内や宿泊先という限定された場所で、ふたりの関係は次第に変化する。御守り石(翡翠)や“ケンタッキー”のエピソードは、予測の範囲内のオチであったりするが、その中で、深夜、警察からの電話でトニーが駆けつけるエピソードが興味深い。ここで、ドクターが同性愛者であることを見せ、差別される構図を複雑化する。また、トニーの周辺のイタリア人コミュニティは、彼が移民の子であることを強調する狙いだろう。

 一部でささやかれている批判的な意見は、繰り返されては後戻りする差別意識への焦立ちの噴出かもしれない。ともあれ、トニーの寛容さを綺麗事と切り捨てず、手がかりとしたいと願うのは甘いだろうか?

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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