岐阜新聞 映画部

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敗戦間際のドイツで起きた戦慄の実話

2019年03月16日

ちいさな独裁者

©2017 - Filmgalerie 451, Alfama Films, Opus Film

【出演】マックス・フーバッヒャー、ミラン・ペシェル、フレデリック・ラウ、アレクサンダー・フェーリング
【監督・脚本】ロベルト・シュヴェンケ

丈の合わない軍服を鎧に変えた独裁者

 西から連合軍、東からはソ連軍の攻勢により、ドイツが敗色濃厚の状況下にあった1945年4月。

 草原を走る兵士。それを追うのはベンツの輸送トラックで、荷台には同じ軍服を着た兵士数人が銃を構えて、逃げる兵士を狙っている。もはや軍規は乱れ、部隊からの脱走兵は後を絶たなかった。命からがら追っ手から逃げ切ったヴィリー・ヘロルト(マックス・フーバッヒャー)は、道端に乗り捨てられた軍用車両から、ナチス将校の軍服を手に入れる。そこに、見るからに気弱そうな上等兵のフライターク(ミラン・ペシェル)が現れる。フライタークは部隊からはぐれたと説明するが、その言動からは“同じ穴のムジナ”の匂いがした。

 腹ごしらえに立ち寄った酒場では、脱走兵が略奪者として捕らえられている。酒場の店主はもてなしの代償として、略奪者の処分を暗に匂わせる。ヘロルトは銃を向ける。

 次に立ち寄った農家では、粗暴な兵士ピンスキーが率いるごろつき集団と遭遇するが、それも仲間に引き入れてしまう。ヘロルトたちは「特殊任務を総統から仰せつかった」と嘘をつくことで苦難をやり過ごし、ヘロルト親衛隊に成長していく。

 ひ弱な脱走兵ヘロルトが、棚ぼたで得た権力を危ういバランスで、強大な力に変えていく様は、然もありなんというリアルさで圧倒される。独裁者の誕生というのは、案外、こういう脆さの上にあったのではないか?

 後半、ヘロルト親衛隊が辿り着いた収容所には、軍規を犯したドイツ兵であふれかえっている。囚人は脱走兵や略奪者であり、権力を握ったヘロルトたちも同じ犯罪者にすぎない。残虐な殺戮がナチスのそれと合わせ鏡であることに戦慄する。怖い映画だ!

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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