岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

連続殺人の現場になるゴージャスなホテル

2019年04月04日

マスカレード・ホテル

©2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 ©東野圭吾/集英社

【出演】木村拓哉、長澤まさみ、小日向文世、菜々緒、生瀬勝久、松たか子、石橋凌、渡部篤郎 ほか
【監督】鈴木雅之

様々な人が交わるとき人間観察の妙が光る

 『グランド・ホテル』(33年、エドマンド・グールディング監督)は、ベルリンの一流ホテルに集う人々の人間模様を描いたアメリカ映画で、第5回アカデミー賞では作品賞を受賞している。このように、ひとつの場所に限定した上で進行する物語を“グランドホテル形式”と呼ぶようになった。それは映画に限られたものではなく、小説、演劇でも同様である。

 『マスカレード・ホテル』はホテル・コルテシア東京を舞台にした、王道の“グランドホテルもの”。原作は売れっ子東野圭吾の“マスカレード・シリーズ”の第1弾。

 まず、発生進行中の連続殺人に関わり、第4の殺人予告としてホテル・コルテシアが確定され、刑事が潜入捜査の準備をするところから始まる。配置される刑事たちや、それを受け入れることになるホテル側の従業員のひとりひとりを、巧みなカット割りと会話の切れ端で表現し、個性をあぶりだしていく手法が上手く、すべり出しは快調。

 フロント係に指名される刑事が新田(木村拓哉)で、その教育係が山岸(長澤まさみ)。物語はこのふたりを中心に進行する。 客のクレームに対処するいくつかのエピソードがある。一見あざとく、情報過多なことにうんざりするが、実はこれが伏線になる、というのはミステリの醍醐味なのだが…。

 連続殺人の関連性の説明不足感が気になる。現場に残された数字のメッセージの他は、情報の提示は限定されるために、輪郭はおぼろげなまま、小出しにされる事実は後出しジャンケン気味で、なんとももどかしい。終盤のサスペンスも、人間観察と合理性を強調していたホテルマンと刑事だった割にはもたつくので、突っ込みたくなる。そして、犯人探しのトリックにもほころびがあるのが残念!

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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