岐阜新聞 映画部

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豪華ディナーの隠し味は“嘘”でした

2019年02月26日

マダムのおかしな晩餐会

©2016 / LGM CINEMA - STUDIOCANAL - PM - Tous Droits Reserves

【出演】トニ・コレット、ハーヴェイ・カイテル、ロッシ・デ・パルマ
【監督】アマンダ・ステール

禁断の恋は甘〜いデザートのはずだった

 アン(トニ・コレット)とボブ(ハーヴェイ・カイテル)は、裕福なアメリカ人夫婦で、現在はパリ住まい。街中をふたり並んでサイクリング中。でも会話はかみ合わず、ボブは重い自転車に悪態をついて、途中でやめてしまう。微妙な夫婦の仲を見せて、これから起きることを予感させるオープニング。

 夫婦の邸宅では晩餐会の準備が行われ、使用人達が忙しく動き回っている。その中心にいるのがメイドのマリア(ロッシ・デ・パルマ)、子どもたちの世話まで焼いて、家族に寄り添っていることが分かる。

 そこにボブの先妻の息子が突然帰って来る。晩餐会の出席者は不吉な13人になってしまい、大慌てのアンは14人目にマリアを指名し、急場を乗り切ろうとする。

 ここからはシチュエーションコメディの趣きで、マリアの衣装選びから会食中のマナーまで、アンの差配はぬかりなく行われるが、マリアのおどおどは止まらない。そして、セレブな招待客が続々と到着する。

 マリアを演じるロッシ・デ・パルマはペドロ・アルモドバル監督作品の常連で、特徴的な“鷲鼻”は世界一美しいと言われている。晩餐会では「食べない、飲まない、喋らない」と釘を刺されたはずだったが、美味しいワインはマリアの緊張を容易くほぐし、スペイン語訛りで下品なジョークを連発して、たちまち場の主役となる。このパルマの怪演ぶりは圧巻。アンの心配をよそに、マリアの下ネタは大ウケする。マリアの隣席にいたアイルランド人の美術クリエーターの紳士は特にご執心で、事態は思わぬ発展をみせる。

 晩餐会の出席者はワケありの糸で結ばれたカップルがいくつかあり、つきものの欲や嫉妬が入り乱れ、随所で展開するオトナの恋の駆け引きは面白く楽しめる。少し気になるのは男の存在感が薄いことだが…主役はあくまで女性なんだから!

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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