岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

侵入者の影 迫害される民族

2019年02月16日

未来を乗り換えた男

© 2018 SCHRAMM FILM / NEON / ZDF / ARTE / ARTE France Cinéma

【出演】フランツ・ロゴフスキ、パウラ・ベーア
【監督・脚本】クリスティアン・ペッツォルト

過去か?未来か?現在か?

 場所はフランス。時代設定は現代のはずだが、それは曖昧なまま。ゲオルク(フランツ・ロゴフスキ)は祖国から逃れ、パリに辿り着いた。侵入してくる軍隊があり、迫害される民族がある…第二次大戦における状況ならば、侵入軍はナチス=ファシストであり、迫害される民族はユダヤ人と想像がつく。

 パリからの脱出を目論んでいたゲオルクは、仲間からとあるホテルに潜伏している反体制亡命作家への手紙を託される。しかし、作家はすでに自殺したあとだった。仲間は捕まり、ホテルの女主人から作家の遺品の鞄を委ねられたゲオルクは、命からがら逃げきり、マルセイユ行きの貨物列車に乗り込む。そこには、怪我を負った瀕死の同志がいた。

 緊張感に包まれたこの序盤には、不思議な違和感がつきまとう。時代設定を現代と想像したが、通信手段にはスマホや携帯は登場しない。パリの街の佇まいや、そこに棲まう人々にも、現代風には程遠いクラシカルな衣装をまとわせている。これには明らかに演出意図が含まれている。パリに溢れる異邦人の存在は、難民移民を想起させる。それを含め、40年代に起きた史実と現代を微妙なズレを見せたまま、いつでもどこでも起こりうる事実として表現しようとする試み。これが違和感の要因であろう。

 平穏を保つマルセイユは港町の陽光に照らされて、パリとは別世界に見える。メキシコ領事館の澱んだ空気感や、貨物列車で息絶えた同志の家族が見せる警戒感には、ただならぬ気配が立ち込めている。ゲオルクは亡命作家に間違えられたことにより、ひとまず危機からは逃れたが、彼のまわりには謎の黒いドレスの女が現れる。この終盤の展開を含め、テーマの分散が見受けられるのが、なんとももどかしい。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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