岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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地域鉄道を応援しようとした志の高い映画

2019年01月19日

えちてつ物語 わたし、故郷に帰ってきました。

©2018『ローカル線ガールズ』製作委員会

【出演】横澤夏子、萩原みのり、山崎銀之丞、笹野高史、松原智恵子、緒方直人、辻本祐樹、坂本三佳、安川まり、古田耕子
【監督】児玉宜久

「時刻表鉄」の私の興味を引いた京福電気鉄道

 一口に鉄道ファンと言っても、乗り鉄・撮り鉄・車両鉄など様々なオタク分野に分かれているが、意外に知られていないのが、映画の中の鉄道場面をこよなく愛する「映画鉄」である。

 私は、映画ファンになる前は時刻表鉄であった。時刻表をしげしげと眺めながら想像を巡らせていたが、中でも京福電気鉄道はとりわけ興味を引いた。私鉄は、都市どおし或いは都市と郊外とを結ぶ路線が普通であるが、京福電鉄だけは、京都と福井という全く別の地方に路線を持っている実に不思議な鉄道会社だったからである。

 その後、時刻表鉄に加えて映画鉄にもなったが、京福電鉄福井支社線は二度の衝突事故後、廃線の危機を乗り越えてえちぜん鉄道に生まれ変わる。本作はふるさとを元気にしたいという河合プロデューサーが、地方創生推進交付金とクラウンドファンディングを使って、地域鉄道を応援しようとした志の高い映画である。

 協力したじいちゃん、ばあちゃんを始めとする地元の人々に「この映画、ちぃと難しくて分からんやっちゃ」などという独りよがりな映画になどせず、分かりにくさはひとかけらも無い、よしもと新喜劇ばりの娯楽作になっている。

 お笑いタレントを目指していた山咲いづみ(横澤夏子)が、相方をほったらかしにして黙って福井に戻ってこようが、結婚式のスピーチで大滑りをしたのに、万分の一の偶然かつ、とってつけたような理由で、えちてつの社長(笹野高史)からアテンダントにスカウトされようが、そんなことはどうでもいい。こんなところで映画の分析をしたって意味はない。

 映画鉄の私としては、福井郊外の沿線風景、登録文化財の勝山駅、福井駅新幹線ホームをえちてつが仮利用していた時の貴重映像(奇跡のロケ)が見られて、充分元は取れたのである。

 昨年4月に鉄道会社に就職し、今は車掌をやっている息子とこの映画の話がしたいのだが、野球以外の会話が弾まない。寂しいのだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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