岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

スターミュージシャンとウェイトレスの運命の出会い

2019年01月21日

アリー スター誕生

©2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

【出演】レディー・ガガ、ブラッドリー・クーパー、アンドリュー・ダイス・クレイ、デイヴ・チャペル、サム・エリオット
【監督】ブラッドリー・クーパー

ガガの自然体の演技と歌声に魅了される

 最初の『スタア誕生』は1937年に製作された。監督は第1回アカデミー賞で作品賞を受賞した『つばさ』の監督ウィリアム・A・ウェルマンで、主演はジャネット・ゲイナーとフレデリック・マーチ。女優になることを夢見る女性と大スターという設定だった。そのリメイクが1954年のジョージ・キューカー監督作品で、主演はジュディ・ガーランドとジェームズ・メイスン。設定は同様だが、前作と違うのは、ミュージカルの味つけがされたこと。1976年のリメイクはバーブラ・ストライサンドとクリス・クリストファーソンが共演し、設定は音楽業界に変わり、役名も変更されている。監督は『狼たちの午後』(1975年、シドニー・ルメット監督)でアカデミーのオリジナル脚本賞を受賞したフランク・R・ピアソン。

 『アリー スター誕生』は4度目の映画化で76年版と同じくミュージシャンを描いている。バックステージ…ボトルから白い錠剤を手にとり口に含む、それを流し込むのは酒か?さりげなく運命を暗示するオープニング。ステージに立ったジャクソン(ブラッドリー・クーパー)はたちまち観客を魅了する。

 ウェイトレスのアリー(レディ・ガガ)は、帰り際にそりの合わない上司から用事を仰せ付かり苛つくが、仕事の後のステージが全てを忘れさせてくれる。ドラァグクイーンに紛れて、奇抜なメイクをしたアリーはマイクを持つ。客席にはジャクソンがいた。

 これをきっかけにしたふたりの出会いが見事。歌、視線、ふれあいを巧みなカットでつなぎ、微妙な感情の揺らぎと高まりを表現する演出は繊細。スーパーの駐車場でジャクソンに促されて、オリジナルの歌をアカペラで唄うアリー。詩に込められた物語はこの映画を象徴する…印象的で美しいシーンだ。

 監督・主演のクーパーの才人ぶりと、ガガの歌声と自然体の演技に魅了される好編。悲劇だが、あと味は清々しく感動的。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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