岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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時代に翻弄されたふたりの無線だけの友情を描く、実話を基にしたファンタジー

2019年01月13日

セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!

©2017 MEDIAPRO - RTV Commercial - ICAIC

【出演】トマス・カオ、ヘクター・ノア、ロン・パールマン
【監督・脚本】エルネスト・ダラナス・セラーノ

逆境の時代であっても、前を向いて切り抜けよう

 1991年のソ連崩壊と、それに伴うキューバの経済危機に翻弄された、ソ連の宇宙飛行士セルゲイ(ヘクター・ノア)とキューバの大学教授セルジオ(トマス・カオ)との無線だけでの熱い友情を描く、実話を基にしたファンタジー映画である。

 革命や維新、戦争の敗北など、為政者の交代による急激な社会の変革は、国民の多くに価値観の180度の転換を余儀なくされる。日本の明治維新や太平洋戦争の敗北と同様に、ソ連の解体は、それまで真面目に信じてきた思想や政治体制が、瞬く間にダメなものとして認識されるようになった。

 セルジオもセルゲイもマルクス主義を勉強し、国家に尽くしながら何の疑いも無く人生を過ごしてきたが、国家指導部による経済政策の失敗は、国家体制を転覆させたり、長期の経済的低迷を引き起こした。真面目なセルゲイは学生から「時代遅れ」とレッテルを貼られ、宇宙飛行士のセルゲイに至っては、ソ連国内の緊迫した状況の対応が優先され、彼は宇宙空間にほったらかしにされてしまう。これって戦争遂行政策に失敗した上、満州を含む外地に国民を置き去りにしてきた日本のように、切羽詰まるとどの国でも同じような事が起こるという教訓になっている。

 ふたりとも孤独で時代に取り残された感はあるが、絶望せず友情を育みながら、お互いの危機的状況を何とか切り抜けていこうと行動する。この辺のプロセスは、コメディタッチでありながら細部のリアリティは押さえられ、納得のいくファンタジーとして描かれている。

 セルジオは、アメリカの友人で、スターリンに家族を殺されたユダヤ人のピーター(ロン・パールマン)の力を借りてセルゲイを助ける事になるのだが、有名な事実の裏にこんなエピソードがあったかもと思うだけでも楽しい。

 この映画には社会主義陣営がどうのと言う事でなく、逆境の時代であっても、前を向いて切り抜けようとのメッセージが込められているのだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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