岐阜新聞 映画部

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ロシア文学の古典 新たな視点で描く恋愛物語

2019年01月08日

アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語

© Mosfilm Cinema Concern, 2017

【出演】エリザヴェータ・ボヤルスカヤ、マクシム・マトヴェーエフ、ヴィタリー・キシュチェンコ
【監督・脚本】カレン・シャフナザーロフ

女優魂を刺激する多面的な女性性を内包するアンナ

 ロシアの文豪レフ・トルストイの「アンナ・カレーニナ」は言わずと知れた名作小説で、数多くの国々で映画化されている。グレタ・ガルボは、1927年と35年に2度にわたりアンナを演じている。1948年にはジュリアン・デュヴィヴィエ監督、ヴィヴィアン・リー主演で映画化された。アンナ・カレーニナは女優にとって、一度は挑戦してみたいと思わせる魅力的な役柄なのかもしれない。最近ではソフィー・マルソーが98年に、キーラ・ナイトレイが2013年にアンナを演じた。

 『アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語』は、日露戦争が始まった1904年の満洲を舞台に、アンナの息子セルゲイ・カレーニンの視点から始まる。

 軍医として戦地に赴いていたセルゲイのもとに、負傷した大佐が運ばれてくる。彼の名はアレクセイ・ヴロンスキー。その男こそ、母アンナを自死にまで追い込んだ張本人だった。憎しみの対象でしかなかった男は、今や年老い、傷を負い、心も体も衰弱している。セルゲイは真実を聞きたいとアレクセイに心を開く。そして、ヴロンスキーは語りだす。ここから、1872年冬に始まる回想となる。

 ロシアの古典文学に位置する「アンナ・カレーニナ」はハードルが高いと思いがちだが、簡単に言ってしまえばコテコテの不倫話なのである。見つめ合う出会い、触れ合うダンス、スキャンダルの噂。政府高官の妻アンナ、貴族階級の家の子息ヴロンスキー。ロシアの社交界を舞台にしているから、そのゴージャスぶりは別世界と言えなくもないが…。

 アンナの心の高ぶりは激情的ではあるが、夫と愛人との板ばさみによる複雑な揺らぎが描かれる。女性の美しさ、可愛さ、弱さ、強さ、母性…多面性を演じられる役柄が女優魂を刺激するのだろう。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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