岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

28歳で全身マヒ余命宣告された男の36年間

2018年11月12日

ブレス しあわせの呼吸

©2017 Responaut Productions Ltd.

【出演】アンドリュー・ガーフィールド、クレア・フォイ、トム・ホランダー、ヒュー・ボネヴィル
【監督】アンディ・サーキス

人工呼吸器と生きる苦難を幸せに変える!

 難攻不落のマドンナ・ダイアナの心を射止めたのはスポーツ万能、行動派のロビンだった。ふたりは運命の恋に落ち、まわりからも祝福され結婚し、幸せな日々を送っていた。

 ある日、赴任先のアフリカ・ナイロビでロビンは突然倒れる。診断結果はポリオで、首から下は全身マヒとなり、人工呼吸器なしでは息もできず、余命数ヶ月の宣告までされてしまう。幸福から一転、絶望のどん底に突き落とされたロビンはその時28歳だった。

 原作はロビン・カヴェンデッシュの自伝で時代は1950年代。全身マヒで人工呼吸器につながれた患者がベットに連なる病院の光景は壮絶で、ロビンの絶望感は想像に余りある。弱気に鬱ぎ込む夫を献身的に励まそうとするダイアナだったが、次第に苛立ちを強くする姿もよく理解できる。まもなく誕生した息子・ジョナサンに会うことも拒否し、延命措置を拒絶しようとさえするロビンに、ダイアナはある決断をする。

 まず、陰湿で暗い病院からロビンを家に連れ戻すこと。2分間人工呼吸器が止まれば死んでしまうというリスク。反対する医師と対立しながらも、協力してくれる若い医師や看護師の力を借り、ついに大脱出を敢行する。

 医療の進歩は様々な技術革新によって成り立っている。病院のベットにつながれたままの患者にも在宅治療の道がひらけ、外出や旅行までもが可能となる。

 ロビンの人工呼吸器をつけたままの36年間は、家族や友人の理解と温かい無償の愛情なしには成り立たない。映画はそれをきれいごとにすることなく、時にはユーモアを交え、エネルギッシュな生き方を提示している。演技陣も素晴らしいが、特にダイアナを演じたクレア・フォイの強い姿は秀美。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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