岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品オーケストラ・クラス B! シンプルかつ繊細な演出が胸を打つ音楽映画 2018年10月19日 オーケストラ・クラス ©2017 Mizar Films. ALL RIGHTS RESERVED. 【出演】カド・メラッド、サミール・ゲスミ、アルフレッド・ルネリー 【監督・脚本】ラシド・ハミ 子供たちの表情や会話などが自然にいきいきと描かれている フランス映画『オーケストラ・クラス』は、プロのバイオリニストがまったくの初心者である子供たちにバイオリンを教えて、コンサートの舞台に立たせるまでを描いた音楽映画。 よく似た設定の映画は何本もあるが、この作品の魅力はドラマ的な作為性を感じさせないドキュメンタリー・タッチで、子供たちの表情や会話などが自然にいきいきと描かれているところ。 舞台となるのはパリ郊外の小学校。生徒のほとんどは、貧しいアフリカ系およびアラブ系の移民の子供たち。主人公のバイオリニストは仕事にあぶれ、生活のために音楽教師の仕事に就いたので、それほど熱意があるわけでもない。また、子供たちの多くも最初は騒いでばかりで授業に真面目に取り組もうとしない。そんな彼らがどのように音楽を通して歩み寄り、信頼関係を築き、やがて子供たちが素晴らしい演奏をするに至るかを、シンプルかつ繊細に描いて胸を打つ。 音楽を教える先生と学ぶ生徒、真面目な生徒と不真面目な生徒、親と子、先生と生徒の親など、この作品にはいくつものうまくいかない関係が描かれている。そして、それらは話が進むにつれて徐々に修復されていく。『オーケストラ・クラス』は、音楽を題材にしながら、相手を受け入れて理解しようと努めることの大切さを描いた映画だ。それが、アルジェリア出身のラシド・ハミ監督が作品に込めたメッセージなのだと思う。 語り手:井上 章映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。 100% 観たい! (6)検討する (0) 語り手:井上 章映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。 2024年09月13日 / 幻の光 デビュー作から並みの監督でないことはよくわかる 2024年09月12日 / 密輸 1970 勝つのは誰だ?四つ巴のクライム・アクションムービー 2024年09月10日 / 幸せのイタリアーノ 嘘つきシニョーレと車椅子セニョリータの大人のラブストーリー more 2017年12月13日 / 十日町シネマパラダイス(新潟県) 震災を乗り越えて街に再び映画の灯を取り戻す 2023年04月26日 / 三越映画劇場(愛知県) 休館していた街の映画館に再び映画の灯がともる。 2024年09月05日 / 京都シネマ(京都府) 過去と現在の重なりを感じる映画館でゆったりと。 more
子供たちの表情や会話などが自然にいきいきと描かれている
フランス映画『オーケストラ・クラス』は、プロのバイオリニストがまったくの初心者である子供たちにバイオリンを教えて、コンサートの舞台に立たせるまでを描いた音楽映画。
よく似た設定の映画は何本もあるが、この作品の魅力はドラマ的な作為性を感じさせないドキュメンタリー・タッチで、子供たちの表情や会話などが自然にいきいきと描かれているところ。
舞台となるのはパリ郊外の小学校。生徒のほとんどは、貧しいアフリカ系およびアラブ系の移民の子供たち。主人公のバイオリニストは仕事にあぶれ、生活のために音楽教師の仕事に就いたので、それほど熱意があるわけでもない。また、子供たちの多くも最初は騒いでばかりで授業に真面目に取り組もうとしない。そんな彼らがどのように音楽を通して歩み寄り、信頼関係を築き、やがて子供たちが素晴らしい演奏をするに至るかを、シンプルかつ繊細に描いて胸を打つ。
音楽を教える先生と学ぶ生徒、真面目な生徒と不真面目な生徒、親と子、先生と生徒の親など、この作品にはいくつものうまくいかない関係が描かれている。そして、それらは話が進むにつれて徐々に修復されていく。『オーケストラ・クラス』は、音楽を題材にしながら、相手を受け入れて理解しようと努めることの大切さを描いた映画だ。それが、アルジェリア出身のラシド・ハミ監督が作品に込めたメッセージなのだと思う。
語り手:井上 章
映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。
語り手:井上 章
映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。