岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

自らも縄文にハマった監督が手掛ける歴史ロマンドキュメンタリー

2018年10月06日

縄文にハマる人々

映画「縄文にハマる人々」より

【出演】小林達雄、佐藤卓、いとうせいこう、猪風来、小山修三、小杉康、池上高志、デニス・バンクス
【監督】山岡信貴

字幕を有効に使いながら、小気味良いテンポで進んでいく

 ヤマタノオロチが出雲の国で暴れまわっていた遥か以前、1万2000~3000年前から2300~2400年前にかけての1万年以上に渡って、日本で発展していった縄文時代。その縄文に魅せられている人たちを取材するうちに、自らも縄文にハマってしまった山岡信貴監督が手掛ける、歴史ロマンドキュメンタリーである。

 私が小中学生だった頃の教科書に載っていた縄文時代は、暗くて狭い竪穴式住居に住み、狩りをして暮らすいわゆる原始人の時代とされていた。しかし近年では、三内丸山遺跡の発掘以来、高度な建築技術を持ち、集団生活をしていたのではないかと考えられている。シンプルで効率的な弥生式土器に比べて、火焔型土器に代表される装飾性の豊かな縄文土器が、何故日常的に煮炊きや食器に使われていたのか?何故家の入り口に子どもの遺体を埋めたのか?何故貝塚に人の遺体が捨てられているのか?

 この映画に出てくる様々な縄文にハマった人たちは、自由な解釈と独自の推理でそれらを説明する。「縄文人は生命誕生と宇宙創成の統一理論を知っていた」という人や、「縄文はギャル度が普通じゃない!」と絶賛する人もいる。みんなロマンに満ちた自分の物語を持っている。

 過去の文献から考察する「歴史学」、遺跡や遺物に基づく「考古学」。縄文時代は、古事記や日本書紀以前の時代であり、文献がないため想像力豊かに語れる事が、縄文にハマる理由の一つである。

 この映画は字幕を有効に使いながら小気味良いテンポで進んでいき、さらに多くの「縄文にハマる人々」を増やしていく中毒性を持っている。かく言う私も、弥生以降農耕が始まり、自然をコントロールすることで人間が組織化・大規模集団化して、土地の独占や主従関係ができていく以前の縄文時代に、思いを馳せるようになった。人間の幸せとは何なんだろうと。いつも素通りの名古屋市博物館の縄文コーナー、今度はじっくり見てみよう。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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