岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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ベルリンに潜伏したユダヤの若者たち

2018年09月02日

ヒトラーを欺いた黄色い星

©2016 LOOK! Filmproduktion / CINE PLUS Filmproduktion

【出演】マックス・マウフ、アリス・ドワイヤー、ルビー・O・フィー、アーロン・アルタラス
【監督】クラウス・レーフレ

リアルな生き様を描いた誠実な佳作

 8月15日。73回目の終戦の日。各地で戦争犠牲者を追悼する行事が行われた。岐阜ロイヤル劇場では、戦争映画の特集が組まれた。映画は戦中、戦意高揚のためのプロパガンダに利用された負目があるのだが、平和を享受した今、映画は戦争の悲劇を繰り返さないための記憶装置としての役割を担っている。

 第二次大戦におけるナチスドイツのユダヤ人迫害を描く映画は、現在もなお、その数を減らすことはない。大戦中、ヨーロッパで迫害を受けたユダヤ人は600万人と言われている。その中で最も知られたユダヤ人少女アンネ・フランクは、ドイツ国籍を持ったユダヤ人だが、彼女の一家はナチスから逃れ、オランダのアムステルダムで2年間の潜伏生活を送った。広くヨーロッパ全土に及んだナチスの追跡の手が、いかに執拗だったかが分かる。

 この映画は国外に出ることなく、ベルリンで潜伏したユダヤの4人の若者を中心に描いている。高校生のオイゲンは、母親の再婚相手がドイツ人だったため、家族の中で唯一、ユダヤ人識別の印(黄色い星のバッジ)をつけていた。共産主義者の一家に受け入れられるが、平穏は長くは続かない。

 ルートは不安の中、友人と戦争未亡人を装い深夜の外出をするうち、メイドの働き口を見つけるが、その邸宅の主は、ドイツ国防軍の大佐だった。しかし、大佐は何故か、ルートがユダヤ人だと気付きながらも仕事を与えてくれる。

 孤児だったハンニはさまようように街に出て、髪を金髪に染め、隠れ家を転々とするが、安らぎのベットを与えてくれたのは、映画館で巡り会ったドイツ兵だった。

 ツィオマは運良く収容所行きを免れるが、両親を失う。ドイツ兵になりすまし、身分証の偽装をする地下活動にも加わる。

 監督はドキュメンタリーを手がけてきたクラウス・レーフレ。実在するモデルのインタビューを挟み、それぞれの生き様を浮き彫りにするが、描写は淡々としたリアリズムが貫かれる。ドラマチックさは抑え込まれているが、リアルで誠実な佳作となった。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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