岐阜新聞 映画部

映画にまつわるエトセトラ

Rare film pickup

池袋の名画座で、俳優・沢田研二との時間旅行

2017年12月30日

『カタクリ家の幸福』『ザ・タイガース 華やかなる招待』

 何を隠そうジュリーのファンである。そう、歌手・沢田研二のこと。カラオケに行くと必ず彼の歌を唄う癖は治らない。

ジュリーのユ・ウ・ウ・ツは、銀幕がお似合い

 池袋に新文芸座という映画館がある。映画通が唸る番組編成で、他館を寄せ付けない名画座の王道。そこで「沢田研二デビュー50年 JULIE My Love」と題して12本の特集上映があった。
 私が観たのは『カタクリ家の幸福』(2001)と『ザ・タイガース 華やかなる招待』(1968)の2本立て。いつもより女性客の多い劇場に映画俳優としてのジュリーを優しく見守る空気が溢れる。特に、三池崇史監督の快作『カタクリ家の幸福』でジュリーと松坂慶子がデュエットで唄うシーンでは、ひとりのお客さんから拍手が起きた。おそらくジュリーファンだろう。ファンなら高揚すべき場面だ。そんな気分にさせる映画館空間は、なかなか素敵だ。
 沢田研二の俳優としての評価は、決して高くないが、心に残る作品が多いことに気が付く。『太陽を盗んだ男』『リボルバー』『ときめきに死す』『魔界転生』など才能ある監督たちに起用された。商業的ネームバリューもあるだろうが、監督たちから愛されたのも事実だ。
 例えば、フランスを代表する美貌系映画俳優アラン・ドロンも大根役者?と言われながら、ルキノ・ヴィスコンティやルネ・クレマン、ミケランジェロ・アントニオーニなどの大監督に愛され磨かれ多くの名作を残している。
 『ザ・タイガース 華やかなる招待』の屈託ないジュリー20才の笑顔は、 ファンの心を掴んだまま、『カタクリ家の幸福』のジュリー53才の苦悶の顔に移行した。されどジュリーはジュリーのまま、“時の過ぎ行くままに”映画という記憶の時間旅行。名画座の2本立ては、そんなファン心理も醸成してくれる。
 たとえ50年が過ぎても、観る人の想いは、朽ちるどころか想像力に満たされる。

語り手:映画部 部長

岐阜新聞映画部・部長。岐阜市に生まれ、地元・岐阜新聞社に入社。柳ヶ瀬商店街の映画館シネックスとのコラボで映画部を立ち上げる。本業は、岐阜新聞社東京支社長兼営業部長。「映画館で映画を観ること」がモットー。

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語り手:映画部 部長

岐阜新聞映画部・部長。岐阜市に生まれ、地元・岐阜新聞社に入社。柳ヶ瀬商店街の映画館シネックスとのコラボで映画部を立ち上げる。本業は、岐阜新聞社東京支社長兼営業部長。「映画館で映画を観ること」がモットー。

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