岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

6歳の少女のひと夏の冒険成長譚

2024年09月20日

クレオの夏休み

Ⓒ2023 LILIES FILMS

【出演】ルイーズ・モーロワ=パンザニ、イルサ・モレノ・ゼーゴ
【監督】マリー・アマシュケリ

アニメーションで心象を描く工夫

"ナニー" は乳母のこと

6歳のクレオは、父・アルノーとふたり、パリで暮らしている。

お父さんはとっても優しいけれど…クレオの心の隙間を埋めてくれるのは、いつもそばにいてくれるナニー(=乳母)のグロリアだった。世界でいちばん大好きなお母さんのような存在。ふたりは母娘のように暮らしていた。

ある日、グロリアに連絡が入り、故郷であるアフリカに帰郷しなければならなくなる。

突然の別れで落ちこむクレオ。見かねたアルノーは、電話でグロリアの声をクレオを聞かせる。そこで提案されたのは、夏休みにクレオをグロリアのいる "島" に招待することだった。

クレアのひと夏の冒険がはじまる。

クレアを演じるルイーズ・モーロワ=パンザニは、パリの公園で遊んでいたところをプローデュサーにスカウトされた。撮影当時は5歳半で、演技経験も全くない女のだった。

グロリアを演じたイルサ・モレノ・ゼーゴは、かつてはポルトガルの植民地であった、アフリカ北西部にある島国カーボベルデ出身で、国では看護師として働いていたが、フランスに渡り、ナニー(乳母)の職についていた。本作の取材の際の会話の場で、監督の目にとまり、出演が決定したというから、主役のふたりはともにシンデレラガールということになる。

グロリアの故郷をカーボベルデに設定したのも、彼女との出会いによる。

監督のマリー・アマシュケリは、ジョージア系フランス人で、これまでは共同監督作品で、カンヌ映画祭出品やセザール賞にノミネートされ注目されたが、単独の監督作品としては初の作品となる。

少女の "ひと夏もの" 成長物語としても、瑞々しく美しいし、血縁を超えたつながりの物語としても秀抜。製作の母体がセリーヌ・シアマ監督作品を手がける会社だけあって、ヨーロッパ映画に頻繁に登場する移民の問題に触れることも忘れない。そして、スタッフのほとんどが女性が務める真正の女性映画でもある。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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