岐阜新聞 映画部

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名曲 "ボレロ" の誕生を目と耳で体感する

2024年09月20日

ボレロ 永遠の旋律

© 2023 CINÉ-@ - CINÉFRANCE STUDIOS - F COMME FILM - SND - FRANCE 2 CINÉMA - ARTÉMIS PRODUCTIONS

【出演】ラファエル・ペルソナ、ドリヤ・ティリエ、ジャンヌ・バリバール、ヴァンサン・ペレーズ、エマニュエル・ドゥヴォス
【監督】アンヌ・フォンテーヌ

作曲家の伝記ではなく楽曲に寄り添う特異な構成

少し古くからの映画ファンなら、ボレロと聞いて思い出すのは、『愛と哀しみのボレロ』(クロード・ルルーシュ監督/1981年)かもしれない?

1930年代から現在(80年代)にわたり、パリ、ニューヨーク、モスクワ、ベルリンに暮らす4つの家族の2世代に渡る人生を描く大河ドラマで、クライマックスで、モーリス・ベジャール振付けによる、バレーダンサーのジョルジュ・ドンが踊るボレロは、長い物語を締めくくる感情の発露を表現した圧倒的なバレーダンスで、強烈な余韻と印象を刻む。

ボレロという楽曲を聴いて感じることは、人それぞれに違うかもしれないが、単純な2種類の旋律が、同一のリズムで繰り返される特異な曲でありながら、次第に高まる、せせらぎや波のように、静かに、或いはエロチックに人の感情の起伏に触れる。

『ボレロ 永遠の旋律』は、フランスの作曲家モーリス・ラヴェルが、名曲 "ボレロ" を世に送りだす誕生秘話を描いた映画である。

狂乱の時代と呼ばれ、パリが世界の文化の中心であった1928年。作曲家のモーリス・ラヴェルは、極度のスランプに陥っていた。そんなある日、ダンサーのイダ・ルビンシュタインからバレエ音楽の作曲の依頼を受ける。

芸術家の "産みの苦しみ" は目に見えるものではない、原作のや、脚本で構築された、あくまでもフィクションである。映画では、ラヴェルの人生、過去の記憶を辿ることで、リズムや旋律、音を獲得していく様が描かれる。

戦争で負った痛み、叶わなかった女性との愛の遍歴、最愛の母との別れ。まるで、その時々の感情の起伏が音に変換されていくように、曲が構築される。

ラヴェルを演じるのは、ラファエル・ペルソナで、アラン・ドロンの再来と言われ、活躍が期待される俳優。モテ男=ラヴェルは適役かも?

監督は女優出身のアンヌ・フォンテーヌで、製作の熱意はラヴェルの実家での撮影を実現した。

17分間、されど名曲ボレロは永遠に残る。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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