岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

高齢者社会に斬り込む生々しい社会派映画

2023年05月15日

茶飲友達

©2022茶飲友達フィルムパートナーズ

【出演】岡本玲、磯西真喜、海沼未羽/渡辺哲
【監督・脚本】外山文治

SNSの掲示板より新聞の三行広告が機能する

もとになった事件は2013年に報道された。

警視庁に摘発されたのは、「高齢者売春クラブ」で、男性会員は1000人、女性会員は350人に及ぶ数だった。最高齢は男性88歳、女性82歳で、経営者として逮捕されたのも70歳の男性だった。

当時の報道によれば、トラブルを避けるために、対象者を高齢者にした。そして、売春目的の風俗店の印象を与えない「茶飲み友達募集」という名目で人集めをしたが、応募して来る人のほとんどは、そこに売春目的があることを承知していたと言う。

妻に先立たれた孤独な男、時岡茂雄(渡辺哲)は、ある日、新聞紙面の片隅に「茶飲友達、募集」の小さな "三行広告" を見つける。

待ち合わせの喫茶店では、あくまでも仲介、引き合わせの形態が取られる。代表者の佐々木マナ(岡本玲)の引率の元、時岡はひとりの初老の女性を紹介される。この様子はまるでキャッチセールスの段取りのようにも見える。極端な言い方をすれば、買い手が尻込みしないための優しい入り口。 女性会員をスカウトする、仲間に引き込む。

松子(磯西真喜)は孤独な独り暮らし。自暴自棄になり、スーパーで万引きするところをマナに止められ救われる。渡される名刺と困ったことがあれは連絡して欲しいという助け、これは勧誘でもあるが、はじめ素人の松子は状況を自分の身の上に置き換えて考えることすらできない。

高齢者専門の売春クラブ "茶飲友達=ティー・フレンド" は、マナの他、若いスタッフによって運営されている。ホテルなどへの送迎、精神面でのサポート。なかにはパチンコ中毒で稼ぎを注ぎ込む女性会員を嗜める歳の差逆転の構図まで見える。そこにあるのは緩やかな絆に結ばれた擬似家族の共同体の姿だ。

超高齢者社会の日本。孤独というキーワードは鋭く今を象徴する。正しいかそうではないというモラルの議論を押しやる、老いた個人には何も出来ないという説得力のある事実が厳しい。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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