岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

ちょっと変化球気味なディケンズ原作の成長物語

2021年02月22日

どん底作家の人生に幸あれ!

©2019 Dickensian Pictures, LLC and Channel Four Television Corporation

【出演】デヴ・パテル、アナイリン・バーナード、デイジー・メイ・クーパー、ヒュー・ローリー、ピーター・カパルディ、ロザリンド・エリーザー、ティルダ・スウィントン、ベン・ウィショー、モーフィッド・クラーク、ベネディクト・ウォン
【監督・脚本・プロデューサー】アーマンド・イアヌッチ

運命は自ら切り拓いていくもの!

チャールズ・ディケンズは、イギリスのヴィクトリア朝時代を代表する作家で、その作品は世界中で読まれ、多くの舞台化、映像化もある。 『どん底作家の人生に幸あれ!』は、邦題からは分かりづらいが、ディケンズの代表作「デヴィッド・カッパーフィールド」が原作である。 「デヴィッド・カッパーフィールド」(コッパーフィールドと表記する場合もある)は、1849年に雑誌連載が始まった長編小説で、サイレントの時代、1911年を皮切りに、何度も映画化されている。 1935年の『孤児ダビド物語』(ジョージ・キューカー監督)、1969(日本公開70)年『さすらいの旅路』(デルバート・マン監督)でも、何故か原作題名は消えているから、今回も歴史は繰り返されている。 映画は主人公デヴィッドの誕生から始まる。その時、父親は既に亡く、デヴィッドは母と家政婦の温かい愛情に包まれて健やかな成長を遂げるが、ある日、母の再婚相手の登場によってその運命は大きく変わることになる。 暴力的な継父とそれに寄生してくるその姉は、好き勝手に振る舞うようになり、ついにはデヴィッドは奉公に出されてしまう。酒の瓶詰め工場の様子は、ディケンズ小説の多くに登場する貧民窟の様子である。 成長したデヴィッド(デブ・パテル)に届いたのは母の死だった。それを機に、デヴィッドは継父からの呪縛から逃れ、冒頭にちらりと登場した叔母(ティルダ・スウィントン)を頼り、新たな道を切り拓くことになる。 物語は原作に忠実で、スピーディーに展開する。洞窟のような怪しげな工場、海岸に建つ難破船の住居や叔母の家の、可愛らしいアート感覚は素敵だ。ただ、デヴィッドの人生の節目節目に登場する人物が、かなり個性的であくの強い面子が並ぶので、浮世離れした世界観に面食らうかもしれない。加えて、何故、インド系?母親が黒人なのは何故?…など、気にしだしたらきりがない不思議な映画です。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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