岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品朝が来る B! 良い意味で大衆性を獲得した河瀨直美の傑作 2021年01月13日 朝が来る ©2020『朝が来る』Film Partners 【出演】永作博美、井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子、佐藤令旺、田中偉登、中島ひろ子、平原テツ、駒井蓮、利重剛 【監督・脚本】河瀨直美 エンドロールの後に映画を締めくくる台詞 実の子を持てなかった夫婦と、愛する人との子を手放さざるえなかった少女を繋ぐ特別養子縁組をモチーフにした、辻村深月のヒューマン・ミステリーを映画化した河瀨直美監督の新作。 河瀨監督の長編劇映画は殆ど観ているが、「朝が来る」ほど感銘を受けた作品はなかった。セミドキュメンタリータッチのリアルで自然な演出に変わりはないが、今回はストーリーテリングの妙でも観客の目を釘付けにする。子を引き取る夫婦と、子を手放す少女の人生をリレー形式で描き、その二つの人生が最後にクロスする作劇の見事さ。そして、この映画を完成させる最後のワンピースはエンドロールの後に用意されている。 「あん」の時にも感じたが、河瀨監督はストーリー性のある原作物を映画化した時、良い意味での大衆性を獲得できるようである。 さらに登場人物の心の動きを的確かつ繊細に描く手腕にも唸らされる。河瀨監督の演出に応えた永作博美、井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子の演技も心に響く。 産みの母親と育ての母親を描いた映画では、一昨年公開の越川道夫監督の「夕陽のあと」が素晴らしかったが、それを超える傑作と言って過言ではない。 語り手:井上 章映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。 100% 観たい! (9)検討する (0) 語り手:井上 章映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。 2023年09月25日 / ふたりのマエストロ 笑って泣けて共感できる「予定調和」の映画 2023年09月20日 / 658km、陽子の旅 回帰を模索する苦辛のロードムービー 2023年09月20日 / 658km、陽子の旅 引きこもりのフリーターがヒッチハイクで旅をする more 2022年12月14日 / ジストシネマ和歌山(和歌山県) 紀ノ川が流れる城下町にあるシネコンで映画三昧。 2019年08月07日 / 刈谷日劇(愛知県) 愛知を代表する工業都市で名作を送り続ける街のミニシアター 2021年03月10日 / ポレポレいわき【現:まちポレいわき1&2】(福島県) 震災が起きたあの時…映画館は人々に希望を提供した。 more
エンドロールの後に映画を締めくくる台詞
実の子を持てなかった夫婦と、愛する人との子を手放さざるえなかった少女を繋ぐ特別養子縁組をモチーフにした、辻村深月のヒューマン・ミステリーを映画化した河瀨直美監督の新作。
河瀨監督の長編劇映画は殆ど観ているが、「朝が来る」ほど感銘を受けた作品はなかった。セミドキュメンタリータッチのリアルで自然な演出に変わりはないが、今回はストーリーテリングの妙でも観客の目を釘付けにする。子を引き取る夫婦と、子を手放す少女の人生をリレー形式で描き、その二つの人生が最後にクロスする作劇の見事さ。そして、この映画を完成させる最後のワンピースはエンドロールの後に用意されている。
「あん」の時にも感じたが、河瀨監督はストーリー性のある原作物を映画化した時、良い意味での大衆性を獲得できるようである。
さらに登場人物の心の動きを的確かつ繊細に描く手腕にも唸らされる。河瀨監督の演出に応えた永作博美、井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子の演技も心に響く。
産みの母親と育ての母親を描いた映画では、一昨年公開の越川道夫監督の「夕陽のあと」が素晴らしかったが、それを超える傑作と言って過言ではない。
語り手:井上 章
映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。
語り手:井上 章
映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。