岐阜新聞 映画部

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何かをしたい4人の女子高生の青春

2024年09月06日

水深ゼロメートルから

©『水深ゼロメートルから』製作委員会

【出演】濵尾咲綺、仲吉玲亜、清田みくり、花岡すみれ、三浦理奈/さとうほなみ
【監督】山下敦弘

阿波踊り、メイク、部活、野球部

『水深ゼロメートルから』は、2019年に開催された第44回四国地区高等学校演劇研究大会で、最優秀賞にあたる、文部科学大臣賞を受賞した戯曲を原作にした映画である。

と、聞くと、映画好きで記憶力のあるかたなら、思い浮かべるのが、2017年に開催された第63回全国高等学校演劇大会で最優秀賞を受賞して映画化された『アルプススタンドのはしの方』(城定秀夫・監督/2020年)のことだろう。

映画化への同じような経緯を経た本作は、"高校演劇リプート企画" の第2弾ということになる。

夏休み。市立徳島高校にあるプール。

2年生のミクとココロは、体育教師の山本から、水泳授業の特別補習という名目の指導命令(?)を受け、プールの掃除にやって来る。

水のないプール。故障中で空っぽのプールの底には、隣にある野球部のグランドから飛来してきた砂が堆積している。

ふたりは山本先生の指示に従い、しょうがなく砂の掃き集めを始める。

そしてもうひとり、水泳部のチズル。何しにきたのかと言えば、練習だととぼけて水のないプールにいる。

またひとり、やって来るのが、水泳部を引退した3年生の元部長のユイ。山本先生から掃除の手伝いをするように頼まれたと言って合流し、暇そうなチズルにもホウキを見渡す。

それぞれが不満を抱えて手を動かすが、次第に滑らかになるのはおしゃべりの方だった。

水のないプールを場にした、"ワンシチュエーション" の演劇らしい設定で、アルプススタンドの端っこが場となったのと同様の趣向。女子高生たちが繰り広げるたわい無い会話が、いつの間にか醍醐味に変わる。

出演はココロを濱尾咲綺、ミクを仲吉玲亜、ユイを花岡すみれの舞台版のオリジナルキャストが演じ、チズルの清田みくりは映画版からの出演だが、息のあった見事なアンサンブルを見せる。

監督は『リンダ リンダ リンダ』(2005年)、『天然コケッコー』(2007年)の青春映画の名手、山下敦弘が、遺憾無くその手腕を発揮している。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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