もうヒトラーに間違いない！果たして真相は如何に？

アドルフ・ヒトラーは、1945年4月30日、総統地下壕で拳銃により自殺を遂げた後、ガソリンをかけられ焼却された。その後5月4日にソ連赤軍によって遺骸が発見されて秘密裏のうちに東ドイツに埋葬され、1970年に完全焼却の上エルベ川に散骨したとされる。

『お隣さんはヒトラー？』は、「ヒトラー南米逃亡説」をモチーフに、“IF=もしも”の世界を大胆にアレンジした、歴史ミステリー仕立ての社会派コメディである。

ナチス政権崩壊後の1960年、南米・コロンビアが舞台。主人公は、ホロコーストで家族を失ったポーランド系ユダヤ人のマレク・ポススキー（デヴィッド・ヘイマン）だ。彼は町外れの一軒家で一人細々と暮らしていたが、ある日隣りに引っ越してきたドイツ人ヘルマン・ヘルツォーク（ウド・キア）を見てビックリ！アドルフ・ヒトラーにそっくりなのである。

映画を観ていて、私には「ヒトラーに似ている」とは思えなかったが、「それを言っちゃあ、おしまいよ」なので、「似ているという設定」だとここは乗り切ることにした。すると途端に面白くなってくる。

1960年と言えば、アルゼンチンに潜伏していたアイヒマンがモサド（イスラエル諜報特務庁）に発見・拘束された年だ。ポススキーにとっては、隣人が「高齢のドイツ人」というだけで「もしや？」と警戒するのに不思議はない。

恐る恐る挨拶に行くと、ヒトラーと同じ青い眼の上、推定年齢や身長も同じで、犬好き・煙草嫌いなど共通点がどんどん出てくる。

大使館に「確信をもって」相談に行くが、「ヒトラーは1945年に死亡した」と取り合ってもらえない。

2階の窓からカメラでの監視を始めるが、絵が上手で左利き！もうヒトラーに間違いない！果たして真相は如何に？は、映画を観てからのお楽しみだ。

今年、壁を隔ててのナチスものと言えば『関心領域』があったが、こちらもとっても面白い社会派だ。