岐阜新聞 映画部

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台湾の黒歴史を生き抜いた女性たちの物語

2024年08月30日

流麻溝十五号

© thuànn Taiwan Film Corporation

【出演】余佩真、連俞涵、徐麗雯、徐韜、莊岳
【監督】周美玲

知られざる事実 "1987年まで続いた戒厳令" "題名の住所緑島" のこと

台湾にあった "白色テロ時代" とは?

日本の統治下が終わった後、大陸では共産党に敗れた蒋介石率いる国民党が、台湾に敗走して来る。しかし、表向きには、連合国軍の委託を受けて、日本軍の武装解除を行うために、中国本土から蒋介石率いる中華民国国民政府=中国国民党の官僚や軍人が台湾に駐留し、失地回復という名目で行政を引き継いだ、とされている。

はじめ、台湾の人たちは、中国本土から来た官僚や軍人を歓迎するムードであったが、その蜜月も直ぐに崩れる。それには彼らの汚職の凄まじさに驚き失望したことによるものだが、確かに当時の官僚、軍人は日中戦争.内戦を経た後の、言わば質の悪い人たちで構成されていた。権力は強姦、強盗、殺人という、犯罪者を生み出す温床となり、治安は著しく乱れた。

また、経済的にも極端な物資不足からインフレに陥り、企業の倒産が相次ぎ、失業率も高まった。

当時の台湾人はその状況を「犬(=日本人)去りて、豚(=中華民国人)来たる」と揶揄し、不満は沸点に達していた。

1947年2月27日.台北市で煙草を販売(密売)していた台湾人女性が、取締りの役人によって暴行される事件が発生する。これに端を発し、翌日28日には、台湾人による抗議デモに発展、市庁舎への乱入に対して、憲兵隊は発砲で応戦することになる。この抗争はたちまち全土に広がることになる。

そして、中華民国国民政府は武力による鎮圧に踏み切り、戒厳令がはじまる。

1953年、政治的弾圧が続く中、政治犯として捉えられた者たちは、思想改造、教育、更生という名のもとに、台湾の南西に位置する緑島に収監された。

学生運動に参加した絵を描くことが好きな高校生。生まれたばかりの子どもから引き離された正義感の強い看護師。妹の身代わりとなった舞踏団員。様々な女性に焦点を当て、ささやかな自由を希求することすら許されない不条理との闘いを描く。見えない歴史を知る尊い映画である。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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