5人目は？ たらればになる存在の偉大さ

ビートルズはリーゼントだった

解散から半世紀以上を経ても、メンバーの死に遭遇しながらも、今も尚、新たな技術を投入した新曲を発表したり、ヒットチャートで上位を独占したり、ビートルズの伝説は今も進行中であるように思える。

映画でも、新たな発掘や切り口による作品が、度々、公開され続けている。

『ザ・ビートルズの軌跡 リヴァプールから世界へ』は、そんなビートルズのデビュー前史にスポットを当てたドキュメンタリーである。

デビュー前のザ・ビートルズが、ライブ演奏で出演していたのは、リヴァプールにある "ジャカランダ" というクラブで、そこのオーナーであったアラン・ウィリアムズの証言からはじまる。

当時．美大生だったジョン・レノンとスチュアート・サトクリフに女子トイレの修繕を依頼する話。これは、度々耳にした "まくら" にはもってこいのエピソードで、修繕の出来栄えは散々だったというオチになる。

本編で焦点を絞るのは、アラン・ウィリアムズが興行主として手がけた、西ドイツ・ハンブルク巡業にまつわる話である。

1960年、それまで変転していたバンド名に "ビートルズ" という名前がはじめて見えた頃。ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスンの3人体制に、スチュアート・サトクリフがベーシストとして参加した頃。某ソロシンガーのバックバンドのオーディションに参加するため、ドラマーが必要不可欠となる。それでも代役、一時参加にとどまり、なかなか固定しない時期が続く。

8月、ハンブルクの仕事が入り、再び、ドラマーを含めた5人編成バンドが求められる。

そこで白羽の矢が立ったったのが、ビートルズが演奏していたカスバ・クラブの経営者の息子ピート・ベストだった。

映画はこの幻のメンバー、ベストの他、初期ビートルズをよく知る男たちの証言で進行する。

紆余曲折、今更の話ではあるが、"ビートルズは1日にして成らず"。